1級土木施工管理技士の合格率と難点・試験攻略法まで解説

土木工事 ブログ

1級土木施工管理技士資格とは、鉄道・道路・河川・港湾・上下水道といった土木工事に必要不可欠な資格です。

そして現場でも現場責任者を担うことができ「監理技術者」として工程・安全・品質の3要素を管理し、かつ土木工事現場で働く人々を指揮します。

また土木施工管理技士の資格所持者が所属している建設会社には、国から技術評価点が付与されます。その点数は1級が「5点」・ 2級が「2点」となります。1級の方が工事を受注しやすくなり、会社のブランド性も高まります

そのため土木一般・専門土木・法規・共通工学・施工管理方法など、多岐にわたる科目を学び暗記する必要があり、決して簡単な資格ではありません。

この記事では1級土木施工管理技士試験の合格率と難点・攻略法を解説していきます。

合格率と受験者数

まず1級土木施工管理技士の合格率と受験者数を下記に示します。

平成19年から平成30年までの1級土木施工管理技士試験結果(全国合計)

学科 実地
受験

者数

合格

者数

合格率 受験

者数

合格

者数

合格率
平成19年 42,234 21,458 50.8% 35,161 12,899 36.7%
平成20年 40,556 28,603 70.5% 37,593 9,743 25.9%
平成21年 34,900 17,762 50.9% 34,205 6,544 19.1%
平成22年 39,733 21,066 53.0% 30,864 5,720 18.5%
平成23年 34,241 13,959 40.8% 26,617 5,544 20.8%
平成24年 37,703 20,674 54.8% 27,675 9,585 34.6%
平成25年 32,639 19,568 60.0% 29,182 10,299 35.3%
平成26年 33,130 19,389 58.5% 28,010 11,064 39.5%
平成27年 35,810 19,551 54.6% 27,547 10,266 37.3%
平成28年 35,340 19,454 55.0% 27,846 10,219 36.7%
平成29年 34,629 22,930 66.2% 31,414 9,424 30.0%
平成30年 28,512 16,117 56.5% 27,581 9,521 34.5%

※参考 https://www.shikaku.co.jp/doboku/info/exam/contents/goukaku.html

試験は1次の学科試験と2次の実地試験で、学科試験はマークシート方式・実地試験は記述の試験となっています。1次の学科試験を合格した方のみ2次の実地試験に進めます。

学科試験の合格率が大体40%~60%・実地試験の合格率が大体20%弱~40%弱程度です。全体で換算しますと、25%程度となります。

1級土木施工管理技士は1/4が合格すると考えると、極端に難しいわけではありませんが、決して容易に合格できる試験でもありません。

他資格との比較

合格率

1級土木施工管理技士:25%程度

第1種電気工事士の合格率:40%~50%弱程度

ボイラー技士1級の合格率:55%程度

合格率から鑑みますと、同程度の国家資格と比較して合格し難い資格といえます。

必要学習時間

1級土木施工管理技士:500~600時間程度

第1種電気工事士:300時間程度

ボイラー技士1級:200~300時間

昼間きつい外の土木作業をこなし、帰宅してからの勉強ではなかなか勉強が進まないという点ではどの資格も同じ条件ですが、やはり1級土木施工管理技士は、幅広い範囲で膨大な勉強量を求められるため合格率は低く、勉強時間も多く求められます。

その分、その確かな知識と管理能力が国から認められた土木施工管理の最高レベルの技術資格のため、就職・転職の際には大きなアピールポイントになります。

学科試験の内容・難点・攻略法

学科試験内容:96問出題中65問要回答で合格ライン39問です。

96問の内訳

出題形式:四肢択一(マークシート方式)

分野 出題数 必要解答数
午前の部 土木一般 15問 12問
専門土木 34問 10問
法規 12問 8問
午後の部 共通工学 4問 4問
施工管理法 31問 31問

 

学科試験の難点

実は、試験に落ちてしまう原因の一つとして、豊富な実務経験による自信が命取りになることも多くあります。

「自分は土木工事をもう10年程度こなしてきて、現場も20か所程度経験してきた。土木一般・専門土木・法規で30問得点して、共通工学と施工管理方法は直前に1週間くらい勉強すれば9問位は正解できるだろう」という自信から、試験を甘くみてしまうのです。

そして試験1か月前2か月前に過去問をちょっと試しに解いてみると難しく、土木一般・専門土木・法規で30問得点という当初の計算に大きな暗雲が頭の中に浮かんでくるわけです。

これをきっかけに慌ててバタバタ勉強するわけですが、なかなか簡単には覚えられずに試験本番を迎え39点には届かなかったという悲惨な結果になってしまうわけです。

10年程度現場経験を積んできた方でも、聞いたことすら体験したことすらない言葉・事柄が問題文中などで問われます。

さらに活字の長々とした文章の読解と理解および暗記が苦手といった、不便な点もあります。

ベテランでも落ちることが大いにありますので、気を引き締めてコツコツ勉強するようにしましょう。

学科試験攻略法

500時間をどう確保するか考える

まず仮に学習必要時間を500時間程度と想定します。1日2時間勉強すると、週6日勉強で12時間・1か月で50時間程度・10か月で500時間程度となります。

用事や病気などで、時間が確保できないこともあるため1年前からコツコツ始めると心にも余裕を持って取り組めます。

まずは過去門を1回解く

現場を5年も10年も経験してきた方も、自信や先入観は1回置いときましょう。

早いうちに、まずは1回、過去問を3時間程度かけて、土木一般・専門土木・法規・共通工学・施工管理方法の全分野を大まかに解いて、自分の実力を把握することが大切です。

捨て科目は作らないこと

攻略法としましては土木一般・専門土木・法規・共通工学・施工管理方法の全分野で、ある程度まんべんなく勉強しておくことといえます。

よく、大学受験などでは苦手な科目は捨てて、得意な科目で得点を稼ぐ戦略がとられますが、捨て科目を作ることは、1級土木施工管理技士試験では悪手といえます。

実は、試験の中には土木の知識でなくて、常識的に考えれば正解できるものもあるのです。

例えば以下のような問題です。

施工計画の作成にあたっての留意事項に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  • 発注者の要求品質を確保するとともに、安全を最優先にした施工を基本とした計画とする。
  • 過去の技術にとらわれず、新工法・新技術を取り入れ、工夫・改善を心がける。
  • その現場を熟知した現場担当者の経験だけに基づいて作成する。
  • 計画は1つのみでなく、複数の案を考えて比較検討し、最良の計画を採用することに努める。

正解は(3)なのですが、常識的に考えれば正解できるのではとも考えられます。

はじめから捨て科目を作っていると、このようなサービス問題も見をとしてしまう可能性がありますし、少し用語の意味や仕組みを知ってるだけで解けるものもあります。

まんべんなく、効率よく勉強するのが合格するポイントなのです。

実地試験の内容と攻略法

実地試験は経験記述論文、選択形式の穴埋め・記述試験があります。

正式な配点は非公表となっていますが、100点中40点が経験記述論文・60点分が穴埋め・記述試験と考えられています。

そして穴埋め・記述試験がそれぞれ3問ずつ解答するのが例年のパターンとなっています。合格ラインは6割ということです。

実地試験①経験記述論文概要

経験記述論文は、自身が経験・携わってきた工事に関して論文(作文)を書くという内容になっています。

論文のテーマは、大体が下記5種類のいずれかで出題されます。

・工程管理

・品質管理

・出来形管理

・安全管理

・施工計画(仮説工・環境保全を含む)

実地試験①経験記述論文の攻略法

経験記述論文は、準備に時間がかかるのが難点です。

想定外のテーマを作らないためにも、前もって5種類全てについての経験を整理し準備しておく必要があります。

5種類作成してしまえば、あとは暗記なので時間との戦いとなります。

また5種類全て別々の工事である必要はありませんので決して難しい試験ではありません。

ただし、問題の指示次第では、必ずしも覚えてきた文章を丸写しすればよいというわけではありません。

論述する文章の中で取り上げる工事について、①工種の課題②検討した内容③実際に施工した内容を記すことになります。

これらの3項目について予め作成する行数を想定して、書く練習をたくさんすると思われます。

ところが実際試験では、想定していた行数より多かったり少なかったりすることは大いにあります。

その際は下記のように行数を調整しましょう。

・日本語の言い回しで文字数調整

・字をちょっと小さく(大きく)書く

・該当工事に関係する周辺知識をある程度余分に覚えておく

特に周辺知識を覚えておくことで、下記のような言い回しで内容文を稼ぐこともできます。

・工種の課題では「もしかすると~という懸念もあった」

・検討した内容の部分では「~といった内容も検討しておいた」

・施工内容の部分では「念のために~といった準備もしておいた」

このように経験記述でもやはり準備が大切になるのです。

実地試験② 穴埋め問題の概要

選択問題では穴埋め問題と記述問題が出題されます。

実地試験②-1 穴埋めの問題概要

土木工事に関する( )を含んだ文章が出題されますので、( )に該当する適切な言葉を記入する形になります。

穴埋めが一見簡単なイメージもあるかと思いますが、10年分位過去問を丸暗記して、やっと8割程度得点できるイメージです。

穴埋め問題の攻略法

攻略法は学科試験対策の時にたくさん重要語句が出題されますが、この時に答えとなっている重要語句を暗記するのが攻略ポイントといえます。

ところが過去15年程度さかのぼっても触れられたことすらないような事柄も出題されます。また、工事に関する法律が改正されれば暗記量は膨大となってしまいます。

選択問題で頑張って8割得点ということを考えると、合格ラインを引き上げるには、記述問題をいかに得点できるがポイントになります。

実地試験②―2 記述問題概要

記述問題は、土木一般・施工方法・施工管理などについて記述する形の問題です。

実地試験②―3 記述問題攻略法

記述問題の攻略法は過去10~15年分の記述答えを暗記しておくことです。

さすがに全く同じ問題が出題されるというのは考え難いですが、覚えてしまえば、類似問題も出題され得点しやすいため、これだけ覚えれば大丈夫ではという区切りがつきやすいです。

読む量も膨大になってくるため、類似問題などをまとめた参考書や動画講座で聞き流しをしたりなど、効率良く問題に触れるように工夫しましょう。

今後の傾向と対策方針

今後も土木工事というのは行われ続けるため1級土木施工管理技士という資格の需要も存在し続けます。

ただ恐らく1級土木施工管理技士国家試験が簡単になるというのは予想し難いです。

それゆえこの資格を目指す方々には、懸命な勉強が求められます。

本記事が今から1級土木施工管理技士の資格を目指す方の学習目標設定・対策の参考となり、合格にもつながれば幸いです。

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